世界最大のゲノミクス研究所、オーダーメード医療を現実的なコストで実現できる時代に向けた基礎研究にGPUを活用
BGIのNVIDIA® Tesla™ GPU搭載のサーバーファーム |
2011年12月14日 - GTCアジア(北京) -NVIDIA(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼CEO: ジェンスン・フアン(Jen-Hsun Huang)、Nasdaq:NVDA)は本日、世界最大のゲノミクス研究所であるBGIにおいて、NVIDIA® Tesla™ GPUベースのサーバ・ファームを導入した結果、従来は4日間近くかかっていたDNA塩基配列の決定データの解析がわずか6時間に短縮されたと発表しました。
今回のスピードアップは、DNA分子の化学的構成ブロックを実用的な範囲のコストで決定できる日に向けた重要な一歩だと考えられます。疾病治療の実用的な要素としてゲノミクスを臨床診断試験で利用するためには1000ドルでゲノムを解析できる必要があり、その達成がゲノミクス業界の目標となっていますが、今回の成果はその目標に向けて大きく前進するものなのです。
BGIでハイパフォーマンスコンピューティングを率いるビンシャン・ワン(Bingqiang Wang)博士は、次のように述べています。「ゲノムのシーケンサーはスループットが高く、そこからは、毎日、我々がおぼれるほど大量のゲノムデータが得られます。今回、ゲノム解析アプリケーションをGPUで高速化することに成功した結果、今後は、そのデータを次々に処理し、バクテリアや植物、人間などについていままで不可能だったほどのスピードでさまざまな知見が得られるようになります。つまり、患者ごとに最適化した効果的な医薬品や治療方法を実用的な価格でみつけられるようになるわけです。」
BGIでは外部の協力も得つつ、以下のように、NVIDIA Tesla GPUによる高速化を施したゲノムデータ解析アプリケーションを3種類、開発しました。
- SOAP3アライナー-シーケンサーから得られたショートリードと既存のレファレンス・ゲノム・シーケンスとの比較をおこなうシステムです。GPUアクセラレーションを施したSOAP3アライナーは、100万リードから3つのミスマッチ・アライメントを数十秒ですべてみつけることができます。GPUアクセラレーションがない状態では、この処理に数十分もかかっていました。つまり、すでに配列が決定され、検討されているゲノムに対して比較をおこない、新たなゲノムの配列を決定し、構築する作業に要する時間を短縮し、病状がどのように進行する可能性があるのか、また、どのような治療方法があり得るのかなどをすばやく把握できるようになったわけです。
- GSNP(SNP検出)-広く利用されているSOAPsnpソフトウェアにGPUアクセラレーションを施したもので、ゲノムのSNP(一塩基多型)について、その変異を検出することができます。DNA SNPの変異は、疾病の進行状況やバクテリア、ウイルス、医薬品への反応が患者ごとに異なる理由の検討に用いられます。
- GAMA(高解像度遺伝子型解析ツール)-目の色や前立腺がんの罹患傾向など、遺伝子セットにおいてある特定の遺伝子変異が発生する分布や頻度を求めるツールです。
NVIDIAのTeslaビジネス担当マネージャー、スミット・グプタ(Sumit Gupta)は次のように述べています。「1000ドルでゲノム解析をという目標を達成するためには、DNAデータの解析を簡単で高速、かつ、安価におこなえる技術を開発する以外に方法がありません。GPUコンピューティングを導入すれば、科学的アプリケーションで状況を一変させるほどのスピードアップが実現できます。その結果、重要な意味を持つさまざまな研究において、そのコストや複雑度を削減することができるのです。」
優れた医薬品の開発、ヘルスケアの向上、遺伝子強化食品の開発などを実現するため、BGIでは、植物や大腸菌からジャイアントパンダに至るまで、さまざまな生物についてゲノム配列の特定に関わる基礎研究をおこなっています。BGIで特定された配列は、ヒトゲノム相当で70万/年をもうすぐ超えるものと思われます。ひとつのゲノムに13年もの歳月がかかっていたゲノム配列の特定が開始されたころに比べると、配列特定のスピードは劇的に向上しています。
Tesla GPUはNVIDIA CUDA®並列コンピューティング・アーキテクチャーをベースとした超並列アクセラレーターです。アプリケーションの高速化は、CUDA C、CUDA C++、CUDA Fortranを使用するか、あるいは、シンプルで簡単に使えるコンパイラ指示を利用するだけでおこなえます。
BGIについての詳細は、BGIのウェブサイトをご覧ください。Tesla GPUについての詳細は、Teslaウェブサイトをご覧ください。CUDAについての詳細は、CUDAウェブサイトをご覧ください。
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NVIDIAについて
NVIDIAは、1999年にグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を発明し、コンピュータグラフィックスのパワーを世界に知らしめました。マルチコア・プロセッサーであるGPUは、PCゲームの分野で没入感の強い世界をゲーマーに提供するとともに、プロフェッショナルな分野ではシャンプーのボトルから飛行機にいたるまで、さまざまな物の設計を可能にしました。また、並列処理の能力が高く、研究者が使う高性能アプリケーションを効率的に実行することが可能で、世界中のスーパーコンピューターにも採用されています。最近、NVIDIAは急速に成長しつつあるモバイル・コンピューティングにも参入して電話やタブレットにプロセッサーを供給するとともに、車載インフォテインメント・システムにもプロセッサーを供給するようになりました。米国で保有する特許は2,100件以上で、近代的なコンピューティングの基礎となったアイデアに関するものもあります。より詳しい情報については、//www.nvidia.co.jp あるいは日本語サイト//www.nvidia.co.jp をご覧ください。
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