ディレクティブ・ベースのプログラミングにより、CPUとGPUを使用したアプリケーションのアクセラレーションが基本コードを修正する場合と比べて大幅に簡単に
2011年11月14日 - NVIDIA(本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼CEO: ジェンスン・フアン(Jen-Hsun Huang)、Nasdaq:NVDA)、Cray Inc.、Portland Group(PGI)、CAPS enterpriseは本日、プログラマーが並列コンピューティングをより簡単に活用できるようにする取り組みの一環として、新たな並列プログラミング規格「OpenACC™」を発表しました。
CAPSの支援の下、PGI、Cray、NVIDIAが初期の開発を担当したOpenACCは、最新のオープンな並列プログラミング規格として科学技術系の多数のプログラマーを対象としており、ヘテロジニアスなCPU/GPUコンピューティング・システムの変革的な処理能力を容易に活用できるよう設計されています。
並列プログラマーはOpenACCを使用し、シンプルなヒント(=「ディレクティブ」)をコンパイラに送り、基本コード自体を修正・調整する必要なしにコード内のアクセラレーションの対象領域を特定できます。並列処理をコンパイラにエクスポーズすることで、ディレクティブは演算のマッピングという詳細な作業をアクセラレータに担当させることが可能です。
OpenACCは、化学、生物学、物理学、データ分析、天気・気候、諜報など多くの分野に従事するさまざまなプログラマーにとってメリットになると考えられます。Cray、PGI、CAPSの既存のコンパイラは、2012年第1四半期中に完成予定のOpenACC規格にいち早く対応する予定です。OpenACC規格は、アクセラレータをきめ細かに制御し、最高のパフォーマンス・チューニングを実現できるよう設計されたNVIDIA® CUDA®並列プログラミング・アーキテクチャとの間に、完全な互換性と相互運用性を確保しています。
ディレクティブはマルチプラットフォーム、マルチベンダー互換の共通のコードベースであり、アクセラレーション・コンピューティングへの容易な移行を可能にすることで、従来型のアプリケーションへの投資保護の理想的な手段となります。最近のデータによると、開発者の大多数は既存のディレクティブ・ベースのコンパイラを使用し、わずか2週間でアプリケーション性能が2倍~10倍向上したと報告しています1。
コメント
オークリッジ国立研究所のTitanプロジェクト担当ディレクターのバディ・ブランド(Buddy Bland)氏は、世界最速のスーパーコンピュータとなる予定のシステム「Titan」について、次のように述べています。「Titan GPUアクセラレーション対応のスーパーコンピュータの構築・展開を継続するにあたっては、コンパイラのディレクティブが必要不可欠です。私たちの究極の目標は、すべてのTitanスーパーコンピューティング・コードをCPU/GPUのハイブリッド・ノード上で実行させることです。OpenACCによって、プログラマーは移植可能なアプリケーションを開発し、このアーキテクチャの持つパフォーマンスと電力効率のメリットを最大限に引き出すことができます。」
ジョージア工科大学コンピューティング学科の計算科学技術担当共同教授のジェフリー・フェッター(Jeffrey Vetter)氏は、次のように述べています。「OpenACCは、科学コミュニティの大々的な発展を意味します。オープン・サイエンス向けのプログラミング・モデルは、その名の通り、柔軟、オープンで、かつ複数のプラットフォームを横断して移植可能であることが求められます。OpenACCは、こうしたニーズを満たせるよう優れた設計が施されています。アプリケーション・アクセラレーションのメリットを享受できる可能性があるものの、新たなアーキテクチャにコードを移植する資金や専門知識を持たないその分野の多数の科学者にとって、これは価値ある新たなツールとなります。」
OpenMPアーキテクチャ検討委員会のCEOであるマイケル・ウォン(Michael Wong)氏は、次のように述べています。「アクセラレータ技術の未来については、熱い期待を寄せています。OpenACCの発表の目玉となるのが、OpenMPのアクセラレータ・ワーキング・グループのメンバー企業による最高技術のイニシアチブです。私個人としては、OpenMPの組織内で4社と協力して、OpenACCを他のアイデアと融合させて共通の仕様を策定し、OpenMPをアクセラレータ対応とすることに期待を寄せています。委員会としては、OpenMP仕様の将来バージョンを通じ、OpenMPのメンバー全社をフルサポートする形でアクセラレータのサポートを導入できればと思っています。」
OpenACC、およびOpenACC仕様についての詳細は、本日よりwww.OpenACC-standard.orgで公開されます。OpenACCは主に、PGIとCrayのアクセラレータ・プログラミング・モデルをベースとしています。NVIDIA、Cray、PGI、CAPSはOpenMPのアクセラレータ小委員会のメンバー企業であり、共通規格の策定に向けて組織内で作業を行う計画です。
ディレクティブ・ベースのプログラミングの試用に関心のある開発者は、NVIDIAの最新Webサイト「2x in 4 weeks」またはCrayに問い合わせることで、PGIアクセラレータのFortranとC言語のコンパイラで1カ月の無償トライアル版を入手することができます。
Cray Inc.について
スーパーコンピューティング分野の世界的リーダーであるCrayは、高度先進のスーパーコンピュータと世界トップクラスのサービス、サポートを産学官に提供しています。科学者やエンジニアはCrayの技術を使用し、最も高負荷のアプリケーションでパフォーマンスの高速化、効率性の向上、機能の拡大を図ることで目覚ましい進歩を達成できます。同社の「アダプティブ・スーパーコンピューティング」ビジョンは、異なる処理技術を統合アーキテクチャに組み込んだ画期的な次世代製品の実現を目指しています。これによって顧客は、既存の制約を打破し、パフォーマンスの実現に対する市場からの継続的な需要に応えることができます。詳細については、www.cray.comをご覧ください。
The Portland Group(PGI)について
STMicroelectronics(NYSE:STM)の完全保有子会社であるThe Portland Groupは、Fortran、C、C++の高性能並列コンパイラと、IntelおよびAMDのx64プロセッサをベースとするワークステーション、サーバ、クラスタやNVIDIAのGPUアクセラレータ向けの各種ツールの提供で世界をリードしています。The Portland Groupの製品についての詳細は、www.pgroup.comをご覧ください。
CAPS enterprise―メニーコア・プログラミング企業―について
CAPSは、メニーコア・プロセッサでのアプリケーションの移行と展開に特化したソリューションの大手サプライヤです。開発者はCAPSのメニーコア向けグローバル・ソリューションを使用することで、最高級のテクノロジー(HMPPハイブリッド・コンパイラとウィザード)、コード移植手法とエコシステムによる高パフォーマンスを実現できます。開発者はまた、ディレクティブ・ベースかつマルチターゲットのHMPP™コンパイラを使用して、GPUプログラミングに伴う苦痛なしにCPU/GPUのハイブリッド・モデルを安全に移行させ、ストリーム・プロセッサの演算能力を活用できます。HMPP™は、メニーコア・アプリケーションの定義、移植、最適化と各種ツール、手法、リソースからなる、オール・イン・ワンのマルチレベル・スイート、CAPS DevDeck™パッケージで提供されます。
NVIDIAについて
NVIDIAは、1999年にグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を発明した時、コンピュータグラフィックスのパワーを世界に目覚めさせました。それ以来、ポータブルメディアプレイヤーからノートブック、ワークステーションまで幅広い範囲におけるインタラクティブなグラフィックス機器で、継続的かつ驚異的なビジュアルコンピューティングの新しい標準を創り上げてきました。NVIDIAのプログラム可能なGPUの専門的技術は、費用のかからない安価な、そして幅広いアクセスができるスーパーコンピュータによる並列処理の進歩を続けています。米国で保有する特許は2,100件以上で、近代的なコンピューティングの基礎となった発見や設計に関するものもあります。より詳しい情報については、//www.nvidia.co.jp あるいは日本語サイト//www.nvidia.co.jpをご覧ください。
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本参考情報に記載されている記述の中には、OpenACC 、CUDA、並列処理およびモダンコンピューティングに対する企業特許の効果など将来予測的なものが含まれており、予測とは大幅に異なる結果を生ずる可能性があるリスクと不確実性を伴っています。これらのリスクと不確実性に関してはこれらに限らず、世界的な経済環境、サードパーティーに依存する製品の製造、組立、梱包、試験、技術開発および競合による影響、新しい製品やテクノロジーの開発あるいは既存の製品やテクノロジーの改良、当社製品やパートナー企業の製品の市場への浸透、デザイン、製造、あるいはソフトウェアの欠陥、ユーザの嗜好および需要の変化、業界標準やインターフェースの変更、システムを統合する際の当社製品および技術の予期せぬパフォーマンスの損失などがあり、その他のリスクの詳細に関しては、Form 10-Qの2011年7月31日を末日とする会計年度レポートなど、米証券取引委員会(SEC)に提出されているNVIDIAの報告書に適宜記載されます。これらの将来予測的な記述は発表日時点での見解に基くものであり、NDIVIAはこれらの記述を更新する一切の義務を負いません。
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