東工大のペタコンTSUBAME2.0が今秋、17 ペタフロップス(単精度)のTSUBAME2.5に大幅性能向上|NVIDIA
 

東工大のペタコンTSUBAME2.0が今秋、17 ペタフロップス(単精度)のTSUBAME2.5に大幅性能向上

 
 

防災・環境・医療領域における急激な需要の増加へ対応

東京工業大学
日本電気株式会社
日本ヒューレット・パッカード株式会社
エヌビディア・ジャパン

2013年7月16日 - 東京工業大学学術国際情報センター(以下、GSIC)は、今秋までに、現有するTSUBAME2.0をTSUBAME2.5として理論演算性能値は単精度17ペタフロップス、倍精度で5.7ペタフロップス(1 秒間に5700兆回の浮動 小数演算が可能)とTSUBAME2.0に比べ約2.4倍の世界最高レベルへと大幅な性能向上となる増強を実施することになりました。

TSUBAME2.0はGSICが中心となり、日本電気株式会社(以下 NEC)、日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下 日本HP)、エヌビディア・ジャパン(以下 NVIDIA)などが開発した日本初のペタコンとして2010年より稼動してきました。本システムは、稼働開始直後より高い利用率をもって活用されており、中でも2011年3月11日の震災の以降、防災・環境・医療などの領域で様々な課題が浮き彫りになり、スーパーコンピュータを活用した研究開発による解決が期待されています。GSICでは、予てより先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業やTSUBAME共同利用を通じて、産業利用への貢献を行ってきました。この度の大幅な性能増強は、社会貢献アプリケーションをはじめ、産業利用を含めた需要の急激な増加への対応を行うことを目的にしています。

この度の性能向上は、2015年末に導入予定のTSUBAME3.0に繋がる重要なステップであり、技術的な要素を含む種々のハードルを克服して実現しました。

今秋稼動予定TSUBAME2.5への増強
GSIC は、今秋に稼働予定の「クラウド型グリーンスーパーコンピュータTSUBAME2.5」への増強を、2013年7月12日に落札したNECと日本HPとともに開始する。

TSUBAME2.0は、2.4PFlopsの計算性能と7.2PBytesのストレージを備え、2010年には世界のスパコンランキングの指標として用いられるThe Top 500で4位に認定されただけでなく、スパコンの省電力性能の世界ランクThe Green 500で運用中のスパコンでの第1位、2011年には近年重要とされているスパコンの大規模データ処理の性能を競うThe Graph500にて3位、ならびに実用的な科学技術計算で最も優れた性能を達成したグループに与えられるACM Gordon Bell賞 特別賞の獲得などを致しました。しかしながら本システムの利用率は繁忙期には利用率90%以上、時には99%に達しており、運用予定期間を2年以上残した現時点ですでに計算資源が逼迫している状況となっている。

TSUBAME2.5は、理論演算性能値は5.7ペタフロップス(1 秒間に5700兆回の浮動小数演算が可能)とTSUBAME2.0に比べ約2.4倍の世界最高レベルとなる。また単精度の理論演算性能値では約17ペタフロップスとなる。

TSUBAME2.5では、現有のTSUBAME2.0では実現できない規模の並列計算を可能とし、今後も大幅な増加が予想される超大型計算の需要を満すとともに、スーパーコンピュータ「京」や他の大学の情報基盤センターと連携して、社会貢献アプリケーションの莫大な計算需要に応えていく。

増強にあたっては、電力不足という社会的要請も鑑み、現在の消費電力と同等または減少させるものである必要がある。このために、現有のGPUアクセラレータを全部または一部置き換える形で増強装置の導入を行う。また現システムで稼働しているユーザ各自のアプリケーション及び商用アプリケーションを継続的に利用できる必要がある。

用語解説
  • TSUBAME Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment の略。
  • HPC (High Performance Computing) 高性能科学技術計算、つまりスーパーコンピューティングの一般名称。
  • ペタフロップス(Peta Flops) フロップスは一秒間で何回浮動小数点の演算ができるか、という性能指標で、ギガ(10の9乗)、テラ(10の12 乗)、ペタ(10の15 乗)など。これ以上は 絶対に出ないという「理論値」と、実際にアプリケーションを動かして得られ変動する「実測値」があり、常に理論値>実測値である。2009年11月に理論値・およびTop500ベンチマークの実測値が共に世界一なのは米国Oak Ridge(オークリッジ)国立研究所にあるCray Jaguar システムで、理論値/実測値 = 2.33/1.76 ペタフロップスである。
  • GPGPU(General-purpose Graphics Processing Unit) 本来はコンピュータグラフィックス専門のプロセッサだったが、グラフィックス処理が複雑化するにつれ性能および汎用性を増し、現在では実質的にはHPC用の汎用ベクトル演算プロセッサに進化している。 TSUBAME2.5で用いるのは米国NVIDIA社製Tesla K20Xで、一台あたり1310ギガフロップス。

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