2024 年 5 月 13 日、ドイツ ハンブルグ — ISC — NVIDIA は本日、オープンソースの NVIDIA CUDA-Q™ プラットフォームによって、世界中の国立スーパーコンピューティング センターの量子コンピューティングに関する取り組みを加速させると発表しました。
ドイツ、日本およびポーランドのスーパーコンピューティング施設は、NVIDIA テクノロジを活用したハイパフォーマンス コンピューティング システム内のQPU (Quantum Processing Units) を活用するために、このプラットフォームを使用します。
QPU は、電子や光子のような粒子の振る舞いを利用して、従来のプロセッサとは異なる方法で計算を行う量子コンピューターの頭脳であり、特定の種類の計算をより高速に行える可能性があります。
ドイツのユーリヒ総合研究機構 (FZJ) ユーリッヒ スーパーコンピューティング センター (JSC) では、NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip 搭載の JUPITER スーパーコンピューターを補完するものとして、IQM Quantum Computers が構築した QPU を導入しています。
日本の産業技術総合研究所 (産総研:AIST) の ABCI-Q スーパーコンピューターは、国内の量子コンピューティング イニシアティブを推進させることを目的としています。NVIDIA Hopper™ アーキテクチャを搭載したシステムには、QuEra の QPU が追加される予定です。
ポーランドのポズナン スーパーコンピューティング/ネットワーキング センター (PSNC) は先頃、ORCA Computing が構築した、2 基のフォトニクス QPU を導入しました。この QPU は、NVIDIA Hopper で高速化された、新しいスーパーコンピューター パーティションに接続されています。
NVIDIA の 量子および HPC 担当ディレクターであるティム コスタ (Tim Costa) は、次のように述べています。「有用な量子コンピューティングは、量子と GPU スーパーコンピューティングを緊密に統合させることによって可能になります。NVIDIA の量子コンピューティング プラットフォームは、産総研 や JSC、PSNC といった先駆者の科学的発見の限界を押し広げ、量子統合スーパーコンピューティングの最先端を前進できるように支援します」
ABCI-Q に搭載の QPU により、産総研の研究者は、レーザー光で制御されたルビジウム原子を量子ビットとして使用して計算を実行し、AI、エネルギーおよび生物学における量子アプリケーションを研究することが可能になります。これは、精密な原子時計に使用されているものと同じ種類の原子です。それぞれの原子は同一であり、大規模で忠実度の高い量子プロセッサを実現する有力な方法です。
産業技術総合研究所 量⼦・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター副センター長の堀部雅弘氏は次のように述べています。「日本の研究者は、ABCI-Q 量子古典アクセラレーテッド スーパーコンピューターによって、量子コンピューティングの実用的アプリケーションに向けて前進するでしょう。NVIDIA は、これらの先駆者が量子コンピューティング研究の限界を押し広げるのを支援しています」
PSNC の QPU により、研究者は、2 つの PT-1 量子フォトニクス システムを使って、生物学、化学および機械学習の前途を切り開けるようになります。このシステムでは、量子ビットとして、通信周波数の単一光子である光のパケットが使用されます。それによって、標準的な市販の通信コンポーネントを使い、分散型で、拡張可能な、モジュラー形式の量子アーキテクチャを構築できるようになります。
PSNC の CTO 兼副所長の Krzysztof Kurowski 氏は次のように述べています。「ORCA および NVIDIA との協力を通じて、PSNC では、独自の環境を創生し、新しい量子古典ハイブリッド システムを構築できるようになります。複数の QPU と GPU をユーザー中心のサービスで効率的に管理し、オープンかつ簡単な方法で統合およびプログラムできることが、開発者およびユーザーにとって非常に重要です。この密接な協力が、多くの革新的なアプリケーションに向けた、新世代の量子アクセラレーテッド スーパーコンピューティングへの道を切り開いています。これは未来の話ではなく、現在の話なのです」
JUPITER と統合された QPU は、JSC の研究者が、化学シミュレーションおよび最適化問題に対処するための量子アプリケーションを開発できるようになるとともに、量子コンピューターで古典スーパーコンピューターを加速する方法を示すことができるようになります。JUPITER には、低温で人工原子として振る舞うように製造することのできる、超電導量子ビット、つまり電子共振回路が実装されています。
JSC の量子情報処理グループ ヘッドの Kristel Michielsen 氏は次のように述べています。「量子コンピューティングは、ハイブリッド量子古典アクセラレーテッド スーパーコンピューティングによって身近なものになりつつあります。継続的な NVIDIA との連携を通じて、JSC の研究者は、量子コンピューティングだけでなく、化学や材料科学の分野も発展させられるようになります」
量子コンピューティングをスーパーコンピューターと緊密に統合させることで、CUDA-Q はAI を用いた量子コンピューティングによって、量子ビットのノイズなどの問題を解決し、効率的なアルゴリズムの開発も可能にします。
CUDA-Q は、オープンソースで、QPU に依存しない量子古典アクセラレーテッド スーパーコンピューティング プラットフォームです。QPU を実装している企業の多くに採用されており、クラス最高の性能を提供します。