こんにちは、Andrew Edelsten です。NVIDIA のディープラーニング テクニカル ディレクターです。私は 2010 年から NVIDIA で働いています。そしてここ 2、3 年は、私のチームは DLSS を作成するために NVIDIA Research のメンバーと働いています。
『Final Fantasy XV Windows Edition』と『3DMark Port Royal』 の公開に続き、『Battlefield V』と『Metro Exodus』の DLSS の公開を嬉しく思っています。 これについてたくさんの質問がありますが、中でも最も多かった質問についていくつかお答えしたいと思います。
Q: DLSS とは何ですか?
A: ディープラーニング スーパー サンプリング (DLSS) は、グラフィカル重視のワークロードで、ゲームのフレーム レートを向上させるために AI のパワーを利用する NVIDIA RTX テクノロジです。 DLSS は、しっかりフレーム レートを維持しながら、ゲーマーがより高い解像度とゲーム設定を利用できるようにします。
Q: DLSS はどのように機能しますか?
A: DLSS チームはまず始めに対象のゲームから多くのエイリアス フレームを抽出します。次に、それぞれにフレームついてスーパーサンプリングまたは複数のレンダリング結果を重ねることで、対応する「完璧なフレーム」を生成します。これらの一対になったフレームは NVIDIA のスーパーコンピューターに送られます。スーパーコンピューターは DLSS モデルをトレーニングして、入力フレームのエイリアスを認識し、「完璧なフレーム」にできるだけ近い高品質のアンチエイリアシング画像を生成します。このプロセスを繰り返しますが、今回はアンチエイリアシングを適用するのではなく、追加のピクセルを生成するようにモデルをトレーニングします。これは入力フレームの解像度を上げる効果があります。 両方の技術を組み合わせると、GPU はより高いフレームレートでフル モニター解像度をレンダリングできます。
Q: どのような場合に DLSS の最大のメリットがありますか? また、なぜ DLSS はすべての解像度で利用できないのですか?
A: DLSS の結果は多少異なります。ゲーム エンジン、コンテンツの複雑さ、トレーニングに費やされた時間によって、それぞれのゲームの特性が異なるためです。NVIDIA のスーパーコンピューターは決して休むことなく、ゲームが発売された後もディープラーニング ニューラル ネットワークをトレーニングし改良し続けます。パフォーマンスまたは画質の改善が見込まれる場合は、NVIDIA ソフトウェア アップデートを通じて提供します。
DLSS は GPU の負荷が高い時に、フレームレートを向上させるように設計されています (例えば、フレームレートが低く、GPU が最大限の能力で駆動していてボトルネックやその他の制限がない場合)。ゲームがすでに高いフレーム レートで実行されている場合、GPU のフレーム レンダリング時間は DLSS 実行時間よりも短くなる可能性があります。このような場合は、フレームレートの向上が見込めないため DLSS は利用できません。ただし、ゲームで GPU を頻繁に使用している場合 (FPS が 60 未満 の場合)、DLSS は最適なパフォーマンス向上を実現します。あなたは好きなだけ設定を上げることができます。(注: 60 FPS は概算です。正確な数値はゲームによって異なり、どのグラフィックス設定が有効になっているかによって異なります。)
もう少し技術的に言えば、DLSS はディープ ニューラル ネットワークを実行するためにフレームあたり一定量の GPU 時間を必要とします。したがって、より低いフレーム レート (比較的少ない固定負荷) または、より高い解像度 (より大きなピクセル シェーディングの節約) で動作するゲームは、DLSS により多くのメリットを受けます。高いフレーム レートまたは、低解像度で動作しているゲームでは、DLSS はパフォーマンスを向上させない可能性があります。GPU のフレーム レンダリング時間が DLSS モデルの実行にかかる時間より短い場合は、DLSS を有効にしません。パフォーマンスの向上が見込まれる場合にのみ、DLSS を有効にします。DLSS の有効性はゲームによって異なり、GPU と選択したディスプレイの解像度によって異なります。
Q: 何人かのユーザーがぼやけたフレームについて報告しました。なぜですか?
A: DLSS は新しい技術であり、NVIDIA はそれを完璧にするべく取り組んでいます。
Turing アーキテクチャの Tensor コアを活用し、GPU の負荷が高いときに最大のメリットをもたらすために DLSS を開発しました。このため、開発には (GPU 負荷が最も高くなる) 高解像度に集中し、4K (3840 x 2160) を最も一般的なトレーニング ターゲットとしました。4K では入力ピクセル数が多く、画質に関しては有益です。通常 4K DLSS の場合、約 350 万から 550 万画素から最終フレームを生成しますが、1920x1080 では約 100 万から 150 万画素しかありません。元となるデータが少ないほど、DLSS が入力フレーム内の特徴を検出して最終フレームを予測することは、より大きな課題となります。
NVIDIA はスクリーンショットを確認し、低解像度での DLSS についてのコミュニティのフィードバックを聞いて、それを最優先事項として取り組んでいます。品質を向上させるために、より多くのトレーニング データといくつかの新しい技術を追加しています。ディープ ニューラル ネットワークをトレーニングし続けることで、徐々に改善するでしょう。
Q: なぜアップスケールした TAA (Temporal Anti Aliasing) を代わりに使わないのですか?
A: 解像度、品質設定、ゲームの実装によっては、あるゲームでは TAA を、別のゲームでは DLSS を好む人もいます。
ゲーム業界は長年 TAA を利用してきましたが、TAA は特定の場合に問題が生じる可能性があることが分かっています。 TAA は複数のフレームから生成されるため、激しく動くときにゴーストやちらつきが発生する可能性があり、DLSS の方が上手く処理ができる場合があります。
Q: 『Battlefield V』と『Metro Exodus』の次回の DLSS アップデートはいつですか?
A: NVIDIA は常に画質の改善に取り組んでいます。 ゲームを起動した瞬間に最新のモデルに更新されるように、DLSS のコアを最近更新したので、最新の Game Ready ドライバー (418.91 以降) がインストールされていかどうか是非ご確認ください。
『Battlefield V』の場合、DLSS は 4K と 2560x1440 にて最大 40% の性能と品質を向上させますが、もちろん NVIDIA はコミュニティにも常に耳を傾けています。 次回のアップデートのために、1920x1080 と超ワイド モニター (3440 x 1440 など) の画質を向上するテストとトレーニングに力を入れています。 これらの解像度での現在のユーザー エクスペリエンスはまだ NVIDIA の望んでいるレベルではありません。
『Metro Exodus』の場合は、発売日に間に合わなかったすべての解像度で DLSS のシャープネスと全体的な画質を向上させるアップデートがあります。 また、より広く横断的に DLSS をトレーニングしており、これらの更新準備ができたら、あなたはさらなる品質の向上を見るでしょう。 最後に、HDR 等の既に報告されているいくつかの問題を調査しており、これらは修正され次第すぐに更新される予定です。
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