1997 年に発売された id Software の『Quake II』は、新しいシングルプレイヤーのキャンペーン、非常に遅い 56K モデムで長年プレイしていた待望の中毒性の高いマルチプレイヤー モード、そして難しい設定などしなくても 3DFX GPU による高速化をサポートする驚くべきエンジンをゲーマーたちにもたらしました。カラー照明、動的な視覚効果など、640x480 解像度で美しく、または最上位機種のハードウェアを使用している場合はおそらく 800x600 で実行されていました。
2001 年には、id Software が Quake II エンジンをオープン ソースにして、全面的に見直されたエンジンで誰もが合法的に改変してリリースできるようになりました。それ以来ずっと、ファンにより個人的なプロジェクトの取り組みが続けられ、その最新版が「Q2VKPT」です。
1 月にリリースされた「Q2VKPT」は、ドイツのカールスルーエ工科大学の学生で、NVIDIA の元インターンであった Christoph Schied (博士) によって作成されました。名前の「PT」はパス トレーシング (Path Tracing) の略で、すべての照明効果 (影、反射など) を単一の「純粋な光線追跡アルゴリズム」に統合する、計算集約型のレイ トレーシング手法です。レイ トレーシングが大流行している中、『Quake II』の美しく、リアルタイムでレイ トレーシングされたバージョンを作成した開発者の言葉は世界中で話題となりました。
しかし、パス トレーシングにはマイナス面もあります。ランダム サンプリング アルゴリズムは、2016 年の Q2PT に見られるように、ゲームプレイ中に粗い斑点のような「ノイズ」を生じさせました。その問題を解決するために、Christoph と彼の大学の仲間達は、NVIDIA のインターンシップであった 2016 年に最初に考えられたアイデアを基にし、時間的アンチエイリアシング (Temporal Anti-Aliasing) と同様な方法で、複数のゲームフレームの結果を組み合わせて前述した粒状ノイズを高速に除去する方法を編み出しました。